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青山学院常盤木技術士会

技術士受験奨励記事2009.9 見やすく

2019.09.04 更新
大学での技術士PR活動


1はじめに
(社)日本技術士会の統計では、H20年度技術士一次受験申請者数が約29,400人、H19年度より、約4,700人減少しており、20代の受験者も1,500人以上減少している。この傾向は、技術士二次試験が直接受けられた翌年の、H15年度の約67,600人をピークに続いている。このことは、技術士二次受験者の減少にもつながりかねない。一方、JABEE課程修了者は二次試験の受験は可能であるが、彼らは概して技術士に対する思い入れが薄いようである。
ここでは、私が3年ほど前から理工系大学の学生に対しての技術士PR活動を実施している中で、気がついた点や学生に対しての技術士受験をすすめるポイントについて、以下に述べる。


写真1 青学技術士説明会風景

2 青山学院大学理工学部機械創造工学科での取組み
私は青山学院大学理工学部機械工学科の卒業生であり、同機械工学科OB・OG会(以下AGME)の副会長でもある。
私が大学の学生へ技術士PRを始めたきっかけは「機械技術と社会」という講座の1講師として3年前、大学とAGMEが協力して始めた講義を担当したことである。
「機械技術と社会」の講義は、就職活動前の学部3年生が対象であり、半期の授業のうち、半分の講義をそれぞれ違った分野のOB講師4名が、各2回受け持って実施している。
私は、講義の中で学生に自分の経験を通して、
☆ 大学での知識は会社で役にたつか
☆ 会社で学ぶべきこと
☆ 機械だけでは設計・建設はできない
☆ 海外にも目を向けよう
☆ 業務関連資格取得のすすめ
☆ 技術士について
☆ π型人間になろう
☆ 健康第一
キーワードの一つとして技術士を挙げて、技術士受験のメリットを説明している。
さらに、春の技術士一次試験前に、理工学部生全員を対象に技術士の説明会を実施している。
青山学院大学理工学部は、校風やカリキュラムの関係でJABEE認証には興味がないようである。
その代わりに機械創造工学科では、2年前から技術士一次試験の受験支援を始め、技術士一次試験に合格したものには、大学院の推薦資格を与えるとともに、合格者には受験料を補助している。一昨年は全額補助で16名が合格し、昨年は、半額補助にしたが47名が合格している。ちなみに、合格者のうち35名が学部生、10名が院生である。
また、私は学生への技術士のPRの機会として、卒業式(学位授与式)も利用している。
卒業式には、来賓として挨拶し、卒業後も公的資格取得をすすめ、将来技術士に挑戦することをおねがいし、(社)日本技術士会の「技術士試験 受験のすすめ」のパンフレットを配布している。

3 技術士受験のすすめ方
学生に対して一番のPRはメリットを伝えることである。しかし、技術士一次試験の公的メリットは残念ながら現状はほとんどない。
私の印象では、学生はまず、就職に関して不安をもっており、現状の授業と就職後の仕事への不安を持っている。そこで、技術士受験を通じて「自分で道を考える」「将来の夢を持つ」「当面の目標を見つける」などの説明を主に、学生自身が不安の中に光が見つけられるヒントを与えられればとおもっている。技術士試験を受験することで学生自身が目標をもち、また合格者することで、自信がつく。大学としても、このような支援をすることで学生が満足を得られ、合格者が多く出ることで学校の外部評価も高まるメリットがある。

4 技術士試験のメリット
次に講義の中で、私が強調している点について、以下に記載する。
技術士試験のメリットとしては
「これからは、応用能力やスキルがものをいう」
◆ 応用能力が大事
◆ 個人のスキルを伸ばす
◆ 会社に縛られない技術の裏づけ
◆ 技術で社会に貢献する素養
◆ 技術者倫理が問われる時代
◆ 技術進歩が急速で継続的な研鑽が必要
は技術士の道に通じていて習得可能である。

5 大学内展開の失敗と対応策
青山学院大学では、機械創造工学科を主にPRを始め、本学のホームページにも「一昨年合格者16名」、「今年は47名合格」の記事が大きくでており、私の認識では、同じ理工学部の他学科もすぐに反応して乗ってくると楽観視していた。
しかし、現実は違っていて、今年5月の説明会では事前に他学科にもPRして、機械創造工学科は80名近く参加したが、他学科の受講生はわずか1名となって、期待はずれに終わった。
参加した学生には技術士試験の必要性を十分理解してもらえたが、参加していない学生たちに対してのPRが出来ないことが残念だった。
そこで、説明会終了後、他学科の教授に1人1人会って技術士についての見解を伺った。その話の席で、他の学科の教授たちが自分の学科に関して、技術士試験とは関係がないと判断していることがわかった。
そこで、1人1人の教授の考えを聞き、技術士試験とその学科との関係を説明することで、自分の学科の学生にも技術士試験は必要であることを理解してもらうことができた。そのような努力の甲斐があって7月には、経営システム工学科でも説明会が実施できることになった。また、本年度からは経営システム工学科も機械創造工学科と同様の支援を始めることも内定した。
技術士制度を理解してもらうためには、1人1人の専門分野や環境、経験が違っているので、相手の懐に飛び込んで、「どのような点が疑問なのか?」「相手にあった技術士試験のメリットはなにか?」を説明していく必要があることを痛感した。
このように、遅々と進まなかった展開活動も今後、急展開していくことを期待している。

6 他大学への展開と今後の展望
青学での活動を切っ掛けに、今年から芝浦工業大学工学部で、機械部門の技術士受験講座の講師依頼があった。同大はJABEE認定コースもあるが、認定コース外も選べる。オープンテクノカレッジを開設し、技術士一次・二次受験講座などを在校生にも、格安で開放している。講座は夜間に行われ、大学の技術士会がサポートしており、在学生や卒業生だけでなく、一般社会人にも広く開放している。各大学も技術士へのチャレンジを手助けするような活動を展開し始めたようである。
ご紹介したような活動は、学生や大学にもメリットがある。また、やろうと思えば技術士の方ならだれにでもできるはずである。
このような活動で、若い修習技術者を増やし、技術士を目指してもらいたい。また、その活動は自分自身にも大きなメリットになると信じる。

写真1 青学技術士説明会風景
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(著者顔写真)
成川 薫(なりかわ いさお)


技術士(機械/原子力・放射線/総合技術監理部門)
日本技術士会 原子力・放射線部会幹事、政策委員会委員
?東京エネシス原子力本部
原子力技術部 マネージャー
e-mail;narikawa.04133@qtes.co.jp




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