2018.11.28 更新
演題 歴史の狭間に埋もれた教育界の偉人
~フリッツ・カルシュ~
講師 若松秀俊先生 東京医科歯科大学名誉教授 工学博士
日時 2018年5月12日 15時~17時
場所 青山キャンパス総研ビル11階 第19会議室
若松先生がカルシュ研究を始められたのは、ドイツでのカルシュさんのご遺族との出会いがきっかけだったとか。ラフカディオ・ハーンを知ったことがご縁でカルシュは教師として来日、松江高等学校(島根大学)で多くの人材を育てます。
若松先生はハーンの陰に隠れていた教育者カルシュの業績を発掘し、各地で講演、紹介に努めておられます。
ドイツ人哲学者フリッツ・カルシュは第2次世界大戦前、大正14年に松江高等学校にドイツ語の教官として赴任。一時帰国を挟んで昭和14年3月まで教壇に立ち、「長崎の鐘」で知られる永井隆博士をはじめ多くの人材を育てました。同時に日本の哲学や宗教の研究に力を注ぎました。
松江では妻エンメラとの間に二人の子どもに恵まれました。余暇には愛する松江や出雲地方の田園の様子を絵に描き、貴重な写真も数多く残しています。日本を深く愛し、日本の人々を慈しみ、生徒にヨーロッパの精神を伝えました。
松江高校を離任後、昭和15年からは在日ドイツ大使館で終戦まで奉職しました。昭和43年、カルシュを慕う多くの教え子たちが、彼を日本に招きました。教育の荒廃が叫ばれている中で、ハーンとは別の教育者としての功績を評価しようとの声が高まっています。
講演の要約は「同窓会だより」第19号をご覧ください。