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森静朗金融論ゼミナールOB会

Vol.1 「 金融ゼミ×夏目漱石→アナウンサー!? 」 佐伯りさ(1993年経済学部卒)

2022.10.30 更新

バブル期の華やかなキャンパスライフを経て、故郷・愛媛でアナウンサーとなる夢を叶えたのは約30年前。地元ニュースや情報番組、スポーツ実況をはじめ、「ズームイン!!SUPER」「ZIP!」の愛媛キャスターなど、様々な経験を重ねてきた。そんな私が現在担当している番組が「坂の上のラジオ」。読書好きな方はお気づきだろうか。司馬遼太郎の小説「坂の上の雲」にちなんだタイトルである。番組では愛媛ゆかりの人物の知られざるエピソードなどを紹介。「坂の上の雲ミュージアム」から生放送することもある。


 松山市は「坂の上の雲」のまちづくりとして、市内全体を「屋根のない博物館」に見立てて魅力を紹介する「フィールドミュージアム構想」を掲げており、ミュージアムはその中核施設の一つだ。
 小説の主人公は、秋山好古・真之兄弟と正岡子規。子規の青春時代に関わる人物として夏目漱石も登場する。この漱石に、私は不思議な縁を感じずにはいられない。私の卒論にも「夏目漱石」が登場するからだ。
 所属していたのは金融ゼミ。なのに卒論に漱石?そこには、読書好きだった指導教授の森静朗先生が深く関わっている。
「あなたは松山出身ですよね?だったら、漱石の作品を通して見えてくる貨幣論について考察してはどうだろう。」
 漱石は人気作家となる前に英語教師として松山に赴任し、その時の経験から小説「坊っちゃん」を生み出したことはよく知られている。が、松山出身の私は恥ずかしながら、漱石作品はほとんど読んだことがなかった。
 森先生の提案以来、「三四郎」「門」「それから」など小説のほか、エッセイや評論まで読み漁った。すると、漱石作品には「高等遊民」なる存在がしばしば登場することに行き当たる。彼らは高等教育を受けながらも職業に就くことを拒み、裕福な家の財産を費やして生きている。「金のためにする働き」に意味を見出せず、「金と離れたところで成すこと」にこそ意味があるという。それはちょうどバブルに浮かれ、それが弾けた後は「貸し剥がし」「貸し渋り」が横行するなど、金に振り回される平成初期の社会への大いなる皮肉とも感じられた。そんなことを考えさせたくて、先生は漱石を薦めてくれたのではないか…。

 それから30年にわたる愛媛でのアナウンサー生活で、漱石文学を読み耽った経験は想像以上に私を助けてくれた。松山では、番組にイベントに何かと漱石が絡んでくるのだ。熊本の放送局と共同制作する番組も、NHKのアナウンサーとの朗読コラボ企画も、漱石がらみの番組はなぜか私が担当することが多い。これは、青山キャンパスで森先生が私にかけてくれた魔法ではないかと思いながらマイクに向かっている今日この頃である。

※「坂の上のラジオ」はradikoで全国各地でお聴き頂けます。



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