テーマは「今、統計が面白い!」
2019年9月23日(月・祝)に開催された第26回大学同窓祭において、経済学部創立70年・同窓会設立20年を記念した記念講演会を大学経済学部と経済学同同窓会との共催で開催しました。
講演会講師には経済学部名誉教授であり、現在は一般社団法人新情報センター会長、経営学部プロジェクト教授も兼務されている統計学会の第一人者の美添泰人氏、経済学部卒業で現在は第一生命経済研究所取締役主席エコノミストである嶌峰義清氏を招聘しました。
第一部は美添氏による「今、統計が面白い!」というテーマでの講演、第二部では中村経済学部長にコーディネーターをお願いして対談という形式で、統計学者と実際に統計を利用しているエコノミストというそれぞれの立場で話を伺いました。
第一部の美添氏の講演は冒頭から「交通事故に遭った人の約80%が前日の夕食にある食品を食べていた。この食品は規制すべきか?」という問いかけから始まり、参加者の関心を引きました。答えは「コメ」だそうでコメを食べることを規制されてはたまりません。
公表された統計データにも適切なデータを集め、因果関係をきちんと整理したものでないとミスリードをしてしまうということを強調されていました。主観的データではなく、客観的なデータに基づいて分析を行うことが必要であるということでした。
また最近ブームのように言われているビッグデータに関しては、コンピュータ処理能力の向上により統計学の新たな応用領域が生まれて来ていることは事実としつつ、分析や有用な情報抽出にはまだまだ課題も残されているというような指摘もありました。
第二部のシンポジウムは美添氏と実際に統計データを活用する立場である嶌峰氏の対談という形で、それぞれの立場からの意見交換が行われました。
エコノミストの嶌峰氏からは毎月多くの統計データを分析しているが、分析処理能力はAIの方が優れているかも知れないという話と共に、統計を作成する立場の人にお願いしたいことは「正確な統計」を提供して貰いたいというコメントがありました。
美添氏からは、ビッグデータの活用についてAIのデータ分析能力はかなりのハイレベルになるだろうが、メンタルな部分はAIでは対応出来ず、この部分はやはり人間でなければ対応できないだろうという点を強調されています。
また最後に、日本には統計学を専門とする学部はまだ少ないが、滋賀大学等ではデータサイエンス学部等が新設されている。青山学院は私立文系ではかなり進んでいる方であるという母校に対するエールを送っていただきました。