「無知の知」とは、古代ギリシャの哲学者であるソクラテスの、「知らないことを自覚する」という哲学の出発点に向かう姿勢を簡略して表現した言葉です。「自分が知らないことを自覚する」ということは自身の可能性を見出すことだと私は理解しています。いきなり哲学めいたことから書き始めてしまいましたが、学生時代は言うまでもなく、知らないことばかりでしたが、そのことを素直に受け入れて失敗しながらも行動していたように思います。
私の学生時代を振り返ると印象的だった経験は、海外へ一人旅をしたことです。いわゆるバックパッカーです。やってみようと思ったきっかけは、当時のバイト先の仲間から、バックパッカーについていろんな話を聞いているうちに、自分の知らない世界について面白そうだなぁと思い始めたことでした。しかし、私はこれまで海外への旅行も一度もしたこともなく、ましてや一人で海外へ行くことなんてできるのだろうか?胸中は不安でいっぱいでした。一方で、海外を見てみたい、行ってみたら何か変わるかもしれない、もしかしたら普段使っていない英語を無理やり使うことで、少しは英語を話せるようになるのかもしれない?など期待感もあり、好奇心が不安を上回って、3年生の冬休みに初の海外へ行く決心をしました。
初めて行った旅行先は金融業界志望だったこともありニューヨークへ。季節は真冬で人気のない格安で行ける2月の時期を選びました。JFK国際空港に到着後は、空港職員、ホテルのチェックインでのやりとり、ちょっとした会話でも緊張したのを覚えています。
今のようにスマートフォンで検索、翻訳ということはできませんでしたので、英単語帳や本屋で購入した地図は必須アイテムで肌身離さず持っていました。道すがら現地の方々の優しい助けもあって目的地であったウォール街にも行くことができ、NYSE証券取引所などの見学もすることができました。
旅行先でなにより面白かったことは宿泊先のユースホステルというゲストハウスでの宿泊者との交流でした。同じ部屋になった人とも挨拶からコミュニケーションが始まり、実戦の英語の学習が始まります。なるべく英語を使うように心掛けていたこともあったので、下手くそながらも積極的に話すことができました。どこから来たのか、何をしている人なのか、好きなことは何なのかなど、他愛もない会話しかできませんでしたが、自分の知らない場所で知らない人からの話を聞くことは興味深かったですし、外国で会話をすることができたということだけでも当時の自分にとっては自信となる経験でした。旅で人と出会い会話することは旅の醍醐味でしょう。その後何度か同じように海外へ旅をしたりしましたが、その間出会った人のなかで、現在も付合いが続いている友人もいます。
世界へ出てみたことで文字通り自分の世界が広がったという経験をすることができたというエピソードなのですが、「自分が知らないことを知る」姿勢でいることを、卒業してから約20年が経ちますが、今回ブログを書くことで思い出させていただきました。
自分から意識して物事に対して行動していく姿勢が大切であり、知ったふり、わかったふりをしていないか、仕事や人、物事に向き合うなかで定期的に振り返ってみようと思いました。
ちなみに2020年世の中の生活様式が大きく変化したことをきっかけに、新しい趣味としてキャンプを始めました。昨年は家族や友人と7回ほど行ってきました。知らなかったことも多くなかなか奥深い世界です。新しいことに挑戦することは何歳になっても楽しいです。キャンプの話はまた別の機会に。
学生時代にバックパッカーでニューヨークへ1人旅
新しい趣味として始めたキャンプ