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第33回セミナー「沈黙を破る――アフリカ系アメリカ人女性作家たちの声の系譜」
2018.07.24 更新
講師:西本あづさ氏(英米文学科教授)
日時:2018年5月11日(金)、6月8日(金)、7月13日(金)
アメリカにおけるアフリカ系女性作家たちの歴史を、西本あづさ先生が、
3回にわたり語ってくださった。
第1回:「私は女じゃないのかい?」――19世紀の戦う黒人女性たち
黒人女性奴隷たちは、男性と同じ苛酷な労働を強いられただけではなく、性的搾取という屈辱を受け、人間性と気力を奪われていった。奴隷は読み書きを学ぶ機会を与えられなかったが、そんな時代にもあえて自分のつらい体験を声に出す女性がいた。
第2回:ステレオタイプを破る――ハーレム・ルネッサンス期の作家
1920年代(ハーレム・ネッサンス期)経済力をつけたアメリカは独自の文化を生み、音楽、ダンス等では多くのアフリカ系アーティストが生まれた。
ラーセンが混血のヒロイン達の苦悩を描いた一方で、ハーストンは、黒人たちの喜怒哀楽を話し言葉で描き、後の黒人女性作家たちに多大な影響を与えた。
第3回:アフリカ系アメリカ文学の第二のルネッサンス
1950~60年代に盛り上がった公民権運動では大学のカリキュラム改革も行われ、マイノリティ文学もアメリカ文学史に含められるようになった。
アフリカ系アメリカ文学では、女性作家たちが多くの作品を発表した。
詩人、プロデューサー、教育者等、マルチに活躍したマヤ・アンデロ、『カラーパープル』でピュリッツァー賞を受賞したアリス・ウォーカー、『ビラヴド』でノーベル賞を受賞したトニ・モリスンなどが活躍し、この時代はアフリカ系アメリカ文学の第二のルネッサンスと呼ばれた。
青山学院におけるアフリカ系アメリカ人女性作家の研究は、吉田迪子先生が他大学に先駆けて始められ、西本あづさ先生がそれを引き継いでいらっしゃる。
黒人女性奴隷たちは、想像を絶する苛酷な人生を経験した。そのような女性たちの中に、屈辱に耐えながらも、あえて声をあげた女性達がいた。彼女たちのおかげで私たちは今その事実を知ることができるわけである。彼女たちの勇気に、心から感謝したいと思う。