イギリス小説と財産継承
―ジェイン・オースティンからアガサ・クリスティーまで―
講師:廣田 美玲先生(青山学院大学非常勤講師)
近世のイギリス小説の中でしばしば取り扱われる「entail」?限嗣相続制という相続を限定させる制度?を核にして話されました。
「不動産を分散させないために、土地や屋敷を男子一人だけに相続させる制度」は、日本でもTV放映されて人気があるイギリスのドラマ「Downton Abbey」を見たり、ジェイン・オースティンの「Pride and Prejudice」を読んだりすると、当事者たちには非常に大変な問題であったことが分かります。両ドラマのDVDを見ながら状況の説明を受けました。
そのほかにもジェイン・オースティンの「Sense and Sensibility」や「Northanger Abbey」、シャーロット・ブロンテの「Jane Eyre」、チャールズ・ディケンズの「Great Expectations」、コナン・ドイルのシャーロック・ホームズから「The Adventure of the Speckled Band」、アガサ・クリスティーの「Four-and-Twenty Blackbirds」などから豊富な引用があり、それぞれのセリフに込められる当時の法律と人々の思いを考えさせられました。また、Sir William Blackstoneが18世紀に書いた解説「Commentaries on the Laws of England」で言及されている血統卑属による長子(男)限定相続の部分を読んで、理解を深めることが出来ました。