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大学英米文学科同窓会

会報「Aoyama Sapience」第33号

2015.07.16 更新
 英米文学科同窓会では会員向けの会報「Aoyama Sapience」を年2回発行しています。第33号は2015年7月15日に会員の皆様宛に送付されました。



   ―― 下は会報第33号より転載 ――

■巻頭随想■

「納得できる旅立ちのために」



皆川靱一



  人生100年時代―。喜ばしい長命時代は、高齢者の死亡が急増する“多死時代”でもある。独り暮らしや高齢世帯が劇的に増えていく。当然、旅立ちや最期の迎え方を含め人生の最終章をどこでどのように生き、納得のゆく旅支度を整えるかが真剣に問われている。

 卒業後に約40年間の共同通信記者、定年後に招かれた静岡英和学院大学での8年間の教授生活。ジャーナリズムとアカデミズム双方を経験できたことは、無上の喜びである。記者時代も大学の講義でも専門は社会保障・医療・介護・北欧問題である。

 そんな72歳の私が現在、自らも学び提唱していることが「終活」の勧めである。そう、かつては縁起でもない、とタブー視された「死」や埋葬・墓、相続の話題。しかし今やリビングウィル、エンディングノート、延命治療・終末期医療の選択など関連書籍や記事があふれ、セミナーや講演会も花盛りの、あの話のことだ。

 “老い”を生きる諸兄姉には、ぜひ認識してほしい。親や配偶者の介護、孫の世話など難題山積の世代ではあろうが、自立した個人として、自分のこととして捉え、人任せにせず真剣に立ち向かい自己決定や意志の確立、それを家族はもとより医療関係者などの他者へ伝え、書き残すべき時代に突入している現実を。

 平たく言えば「納得できる旅立ちのために」の勧めである。1970年代後半から取り組んだ末期がん患者をどう扱うかに始まる、ホスピス運動、死を看取る医学や緩和ケアなどの欧米や国内での徹底的な取材執筆が原点ではある。5年前に、北欧織物作家の妻を66歳で見送ったという個人的な辛い経験もある。

 「思い出深い北欧の水辺へ散骨してね」それが遺言であった。大騒ぎしないで、風のように去りたい。家族だけでひっそりと送り出して、葬儀もお墓も涙も写真も嫌、いらないからね。心の思い出として、早く私のいない生活に戻れることを望みたい、とも。北欧スウェーデン、デンマークでの散骨には長男を伴い、1年半掛けた。

 それを機に、終活の意義をさらに真剣に考えるようになった。「周囲に迷惑を掛けない」終活ではなく、自分の「生涯の完成」を狙う。結論は、妻のように散骨が望みだ。仕舞い支度の意志、散骨場所などは家族に伝えてある。エンディングノートは既に作成済みで、ちょっと複雑な遺言づくりに取り組んでいる。

 明日の運命さえ分からない日々だからこそ、早めの旅立ち準備を勧めたい。

(北欧社会研究所代表、'65年卒)




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