京都支部秋の散策会ご報告
開催日:2009年11月18日(水)
訪問先:高台寺
出席者:23名
なんとセンセーショナルな『赤と黒』の世界!…といってもあのスタンダールの長編小説の話ではありません。平成21年10月、京都東山の高台寺方丈の間に、『赤と黒』をテーマにこの2色だけを使い大胆な筆致で描かれた斬新で躍動的な抽象画の襖絵がその作者である深尾力三画伯により奉納されました。
このみごとな世界観を醸し出した力三氏の襖絵に出会って以来、私の中で、『赤と黒』といえば『深尾力三』と、そのイメージがすっかり塗り替えられてしまいました。
11月18日(水)、青山学院校友会京都支部恒例の秋の散策会で東山区の高台寺を訪問し、襖絵奉納記念展「赤と黒ROUGE et NOIR 間」を拝見しました。拝観入り口でお出迎え下さったのは、クールな風貌にニヒルな面持ちのダンディーなナイスガイ、深尾画伯ご自身でした。深尾氏は、パリを拠点にヨーロッパで活動している抽象画家で、青山学院の大先輩、こんな名誉なことはありません。お会いすると、大胆な作風とは対照的に謙虚でシャイなお人柄がなんとも好印象な方でした。
赤と黒をテーマにした躍動的、エネルギッシュ且つエキサイティングな異色の襖、奉納された襖はあわせて16面、光沢と深みのある赤色と黒色は強烈なインパクトを放っていました。この襖絵を前に力三画伯が、絵画との出会いやその思いについてぽつぽつと語って下さいました。曰く、作品を創るにあたって特に理屈っぽい意図を持たず既成概念や禁忌にとらわれずパッションに従い感じたまま思ったまま表現している、それを見る側がどう思いどう感じるかは自由だとのことで、多くの人が思い思いにこの作品と対峙することができ、それぞれが思いのままその感動に身を委ねることが可能となるのでしょう。
受け入れた高台寺さんは、「画伯の作品から仏の心の一部を感じ取った、それは『匂い、間、あわれ、不均斉、孤高、幽玄、脱俗、静寂である』として、深尾氏の襖絵採用に尽力されたとのこと。感無量の思いがしました。考えてみれば、神社の鳥居やダルマは目の覚めるような朱色です。またベースとなる漆黒は書道の墨の色を彷彿させます。フランスで活躍し洋画をてがけている力三氏ではありますが、氏の中に脈々と流れる日本古来のDNAが接着剤となり洋画と日本の美を融合させ得たのだと思います。
方丈の間で、特別に記念撮影をした後、高台寺内の史跡、名勝、重要文化財などを拝観してまわり、すぐ近くにある竹内栖鳳旧宅跡のレストランで、深尾画伯と氏が在学中に所属していた青山学院自動車部のお仲間と共に和やかな会食会となりました。
昼食の席で大先輩の言葉がとても印象的でした。「私ね、青山学院で学べたこと、とても誇りに思ってるのよ。そしてね、こんな素晴らしい学校に通わせてくれた両親にこころから感謝してるの。」、同感です。こんな素敵な方々とこんな素晴らしいひとときを共に過ごせるのも青学という同じルーツがあればこそ。
散策会当日の夜、京都のホテルで行われた自動車部OB主催の『力三氏を囲む会』にもおじゃましました。♪学生時代といえば平岡精二さんですが、そのお兄様が青学高等部からの力三さんの同級生で同じ自動車部であったとのこと…なんという繋がりでしょう。歌にある「蔦の絡まるチャペル」で、共に培った相通じる教養や価値観、青学で繋がったこの絆は何にも代えがたい宝物です。これからもこの思い「いつま?でも変わらず?に」と祈り、大切にしていきたいと心から思いました。
自動車部の高橋様、久世様、薦田様、田中様、そして皆様、大変お世話になりありがとうございました。
報告者 大内佳世子