京都支部 クリスマス祝会
開催日:平成27年(2015年)12月12日(土)
訪問先: レストラン菊水
出席者:26名
師走の人出で賑わう祇園四条通りは南座お向かいのレストラン菊水にて、今年も京都支部恒例のクリスマス祝会が開かれました。
今年、京都支部では大学の英米文学科同窓会様と共催で10月の二日間、青山学院大学の仙波学長の講演会と懇親会、そして翌日には講演会出席者の有志と京都支部のメンバーとの合同で秋の散策会を開催いたしました。
今年のクリスマス祝会には、Hさん、OさんとSさんが神戸から、また、鍼灸のK先生はお久振りのご出席、そして、初出席は史学科在籍中の現役のWさん(平成28年3月卒業予定)が精華町からと、毎年少しずつご参加下さる方々が増えて、とても賑やかな師走の恒例行事となりました。
午後3時に開会、支部長の開会挨拶に続き、全員で賛美歌「きよしこの夜」を斉唱。続く京都支部恒例のキャンドルトークは昭和26年(1951年)女専国文科卒のI先輩から、「義経記を読み解く」と題して、I先輩が生涯の研究テーマとされる深遠な日本芸能史の一コマを紐解いていただきました。
ご存知「勧進帳」は、『奥州に落ち行く義經が弁慶等を供に安宅の関で関守富樫に咎められたとき弁慶が勧進帳を読み上げる、富樫の家来に疑われた義經を弁慶が金剛杖で打ち据えて切り抜ける、弁慶は富樫が差し入れた酒を飲み「延年の舞い」で返礼する間に義經を先行させ、飛び六方で後を追う・・・・』というお馴染みの話しです。
この「勧進帳」は、成田屋の初代が始めた歌舞伎十八番の第一。徳川の式楽として制限されていた能の「安宅」の評判を聞いた七代目團十郎が、将軍家で演じられる度に出入りの職人に成り済まして侵入、安宅を一年掛りで勧進帳という芝居に作り変え上演したところ爆発的にヒット、顔見世や新築劇場のこけら落しなど目出度い舞台で成田屋の團十郎の演目となりました。
その安宅は、室町時代末期に能作者の信光によって義経記巻第七の「如意の渡りにて義經を弁慶打ち奉る事」を題材に作られました。義経記では懐妊中の北の方一行を引き連れた義經を如意の渡しの渡守の平權守が咎めますが、能の安宅では関守の富樫になっています。そして義経記にはない「勧進帳読み上げ」が加わりました。この勧進帳読み上げ、実は「平家物語(覚一本)」において文覚上人が後白河天皇に神護寺再建のため荘園の寄進を強要して「勧進帳を読み上げにけり」と書かれたものから引用。因みに、天皇の怒りに触れた文覚は伊豆に流され、そこで出会った頼朝に平家討伐をすすめ、その結果頼朝の旗揚げとなり・・・・頼朝の庇護で神護寺は再建されました。
このほか牛若丸、鞍馬天狗、吉野静など良く知られている話の殆どは義経記に記されています。能作者は義経記、平家物語だけでなくその頃の戦記物「保元物語」「平治物語」「源平盛衰記」「太平記」等をよく読み、それらを題材に能を作り、それが歌舞伎の台本としてアレンジされて今日に至っています。
I先輩に促せれ、支部の能楽同好会のKさんが謡曲安宅から「鳴るは滝の水・・・陸奥の國へぞ下りける」の一節を朗々と謡われますと、今度はI先輩が歌舞伎の「鳴るは滝の水・・・」を、より抑揚の利いた長唄で披露され、その違いを五感で比較体験させて下さいました。
『「勧進帳」は日本芸能史の中では代々の戦記物がどのように現在の我々が鑑賞する歌舞伎の中に響き合っているのか、一番良く分かる脚本なんですね。』
I先輩のお話しは続き、『弁慶はね、義經が可愛くてたまらない、義經と心中する覚悟で奥州まで下るが、どうしてそこまで義經に尽くすか、当時は稚児を可愛がる稚児文化があった、お能がそもそも稚児文化で出来ている。日本の芸能史を遡ると文章に書かれない人の心の部分を芝居として劇として人々に見せていったもので、歌舞伎はその典型、歌舞伎で表現される人間が本来持っている内面的な艶っぽさや悲しみみたいなものが私達の心を打つのではないかと思う』と、締めくくられました。
思わず引き込まれるお話し、ありがとうございました。
賛美歌「もろ人こぞりて」の斉唱に続いて、お楽しみの皆さんが持ち寄ったクリスマスプレゼントの交換です。機動力では支部一番のF幹事とMさんOさんSさんら赤い帽子に赤いエプロンのコスチュームが可愛い「サンタガールズ」の皆さんのご協力でまずはジャンケンゲーム、心のこもったプレゼントが全員に行きわたり皆さんニッコリ、幾つになってもワクワク嬉しいものですよね。
続いて、賛美歌「いつくしみ深き」を斉唱。スクールフラッグを中心に記念撮影、画面いっぱいに笑顔が揃いました。
その後、ダンディーなK先輩のご発声で、ここに集った皆様や会員全ての健康と神の恵みに感謝して乾杯、当店シェフ心尽しのフランス料理と美酒に、なごやかで気の張らないお喋りの輪が広がりました。初参加のWさんはお母様とご一緒にご参加され、周りの方々とすぐに古い仲間のようにお話しに溶け込まれました、青山校友の集いの良さですね。この京都支部の集いが、青山に繋がるあらゆる皆さんの心の拠り所であり続けたいとの気持ちをあらたにいたしました。
近況を語り合うなかで、鍼灸のK先生に来年のキャンドルトークをお願いしましたところ『次回は「健康の秘訣」と題してお話ししましょう』とご快諾をいただきました、ここに集う皆さんに特に感心の高いテーマ、今から楽しみです。
そして賛美歌「かみともにいまして」を全員で斉唱し、お互いに来年の再会を約して、楽しいひとときの集いはお開きとなりました。
皆様のあたらしい年が良い毎日でありますように、またお会いいたしましょう。