第5回岐阜を知る会は、12月8日(木)”サラマンカホールの名前の由来、オルガニスト辻宏氏の製作したパイプオルガンを尋ねて”と題して、サラマンカホールの舞台見学を実施しました。
同ホールの金子真さんの案内・解説によりサラマンカホールの名前の由来、パイプオルガンの製作の苦労話や魅力などたっぷりお聞きすることが出来ました。
パイプオルガンの正面はスペイン様式、後方(左右)は北ドイツ風です。その役割は、後方がオーケストラの役割、前方がソロということだそうです。パイプ数は2,997本にも及びそれらはすべて手作りです。
この辺りを辻宏氏の「サラマンカホールのオルガンを制作して」という記述から拾うと、次のように記されています。
ホールの建築設計がほぼ終了した時点でオルガンの設計が始まった。設置者の要望は幅広いレパートリーに対応したコンサートホールオルガンであることと、岐阜県とも関係の深いスペイン・サラマンカ大聖堂のルネサンスオルガンの複製をも考えることでもあったという。制作上の最も大きな問題点はSWELL ORGAN(パイプオルガンの増音箱内の音響)を含む3段鍵盤オルガンの中でスペインのオルガンをどのように位置づけるかということだったそうです。第2鍵盤のGREATは北ドイツ・バロックの様式で、このオルガンの第1の中心。第3鍵盤は、サラマンカ大聖堂のスペインオルガンのほぼ忠実な複製で、この楽器の最も特徴的なところで、このオルガンのもう一つの中心。PEDAL ORGANは北ドイツ・バロックの様式に従っているという。
紙数の関係で割愛させていただきますが、記述は「これほどまで配慮されている?」というほど専門的な見地から、まだ見ぬ弾きてへの制作者としての思いや拡張性などについても記されています。
パイプオルガンのデザインは岐阜県の北アルプス、客席は濃尾平野をそれぞれイメージして造られているそうです。
サラマンカホールのパイプオルガンは、1989年8月から1990年3月までの8カ月間、辻氏はお弟子さんとともに住み込みでの作業でした。
名前の由来は、鳴らずのオルガンと呼ばれていたサラマンカ大聖堂のルネサンス様式のパイプオルガンを白川町に工房を構えていた辻宏氏が修復し、これに岐阜県が協力したことから始まり、ホールの愛称を全国公募した結果、最も多かったのが「サラマンカホール」という名称でした。
青山学院高等部出身の辻宏氏の功績に改めて感動した見学となりました。
パイプオルガンの演奏会がありましたら、是非お聴きください。
今回の参加は、押谷支部長と幹事の山北でした。
(幹事:山北記)