3年ぶりに開催された第29回岐阜県支部の集いの1週間後、2022(令和4)年7月10日(日)に予定通り、第3回岐阜を知る会を開催しました。
今回の岐阜を知る会では、岐阜県にも多くの文化的遺産を残された辻宏氏の功績を知るシリーズの第1回目として開催しました。辻宏氏は青山学院男子高等部最後の卒業生の一人で、青山会館に設置(1994年)されたパイプオルガンは辻氏が制作したものです。2021年3月に青山会館(アイビーホール)のためパイプオルガンの行き場がなくなってしまうという事態になりました。辻氏やパイプオルガンのその後については「あなたと青山学院」NO.37 (February 2022)に詳しく掲載されていますのでご覧ください。
辻氏は、世界的オルガンビルダーとして活躍されサラマンカ新大聖堂の修復をきっかけに、岐阜県の音楽専門のコンサートホールの名前の由来、ホールのオルガン制作には辻宏氏が大きく関わっておられます。1976年には白川町に辻オルガンを移転し、2005年12月に永眠されるまで岐阜県を起点にご活躍されました。
岐阜県内にも多くの辻作品が残されていますが、今回は1984年に美術館としては初めて設置された岐阜県美術館の音色を聴く機会に参加しました。
【コンサート概要】
第405回 パイプオルガン定期演奏会
岐阜県美術館 多目的ホール 14時開演
オルガン演奏 山田由希子さん
主な演奏曲
トッカータ7番:ミケランジェロ・ロッシ
チャコーナ ト長調:ゲオルグ・ムファット
など6曲
パイプオルガンの特徴を最大限導き出した選曲に丁寧な曲目解説に、私たち校友はもち
ろん約50名の聴衆を魅了しました。
【PIPE ORGANの仕様】
設計・製作:辻オルガン 作品37号 1984年3月完成(1982年11月から1年4カ月)
製作顧問:ウンベルト・ピネスキー
手鍵盤 C,D,E,F,G,A,B,H~c~ 45鍵(ショートオクターブ)
足鍵盤 C,D,E,F,G,A,B,H 8鍵(ショートオクターブ)
演奏補助装置 TREMOLO
調律法/ピッチ 辻考案による全調演奏可能なミントーン
※ミントーン:中間音律という調律法
【PIPE ORGANの特徴】
イタリア・ピストイア出身のオルガン製作者アントニオとフィリッポ・トロンチ兄弟によって1755年にサンタ・マリア・デッレ・グラーツィエ教会に製作されたオルガンのレプリカ。辻氏は1980年と1982年にこのオルガンを含むピストイア市に残る2台の歴史的オルガンの実地調査を行った経験があり、外寸や寸法にいたるまで原物に忠実な複製となっている。
パイプには、岐阜県中津川市と加茂郡白川町とにまたがる二ッ森山の切越峠(霧越峠)に植えられた樹齢約300年のモミの木が使用されている。
【オルガニストの山田由希子さん】
辻宏氏と同じ東京芸術大学音楽学部器楽科オルガン専攻卒。同大学院オルガン専攻修士過程修了。美濃白川国際イタリアオルガンアカデミーにて白川賞受賞。オランダ政府給費留学生としてクラウス公フローニンゲン音楽院で研鑽を積むなど世界的に活躍されている。
参加者は戸田重徳(71経営)、中嶋英子(72英米)、加賀秀明(78経済)、大澤智恵子(86短)、山北一司(86経営)の5名でした。
辻さんが制作されたパイプオルガンの音色やオルガニストの山田由希子さんの曲間のショートスピーチを聞きながらオルガンの世界の扉を少し開けたような気分です。これを皮切りに偉大な辻宏氏の功績を知るシリーズに励みをつけたいものです。
演奏会の後、幸運にも辻宏氏製作のパイプオルガンの前で、演奏者の方々と写真撮影することが出来ました。
集合写真は左から、加賀秀明校友、戸田重徳校友、山田由希子オルガニスト、今村初子オルガニスト、中嶋英子校友、筆者で、撮影者は大澤智恵子校友です。
(幹事:山北記)