2021.04.26 更新
この催しは、青山学院校友会静岡県西部支部の行事として以前より
「手料理を楽しむ集い」として開催されていたものを、これに一区切り
をつけ新たに「殿方による手料理を楽しむ集い」として
平成19年(2007年)12月より新たに開催された行事と
聞いております。
わたくしが参加したのは、翌年4月「春の佳き日」と題して開催された
第2回が最初でした。それ以降,平成30年の第11回の開催まで参加
してまいりました。
それまで60年間にわたり料理はもとより台所に入ることすらしなかった
わたくしでしたが、参加しようと思いたったのは、公務員として35年間、
団体職員として4年間の勤務を終え365連休の生活を送ることとなり、
毎日の生活に今まで以上に余裕のある時間ができ、これまでの趣味に加え、
何か新しい事柄に挑戦しようと思案していたおり、たまたま校友会西部支部
の総会に初めて出席した席で、先輩の方からこんな催しがあるけれど参加
してみてはと勧められたことがきっかけでした。
この講座は、まず喜田さんのお手製のレシピをもとにテーマに沿った
献立の意義、料理用語、食材の由来等の説明を受けたのち参加者が分担
して進めていくものでした。
毎回のテーマも、「春の佳き日に」、「初夏の日本料理」、
「重陽の節句によせて」、「健康家族のお夕飯」、「初秋の日本料理」、
「長月のお稽古」など季節感を十分感じさせるものが取り入れられると
ともに、食材の選び方にも気を使われた先生の料理に対するこだわりに
ひと方ならない思い入れが感じられるものがありました。
料理を進める段階においても、塩分濃度の正しい作り方、それぞれの
料理品目のさらにおいしさが増す最良の調理方法、料理には手際の大切な
ことなど渡されるレシピの説明にはない事柄まで、適宜にその都度
こと細かに的確な助言が加えられ料理経験の乏しい参加者に対する
正しい教示をいただき以後のわたくしたちの料理に対する考え方に
少なからず影響をもたらしたものと考えています。
こうした一通りの説明ののち、調理は参加者がそれぞれの品目を分担して
進められ、心もとない手つきで悪戦苦闘しながらも完成にこぎつけましたが、
これも先生をはじめ予め下拵えをお手伝いいただいた校友でもある
お弟子さんたちの強力な手助けがあったればこそと思っております。
このように苦労して完成にこぎつけた満足感は参加者全員が
なみなみならないものを感じ取ったものと思います。
そして仕上げとして、立派な和室において出来上がった料理を
参加者全員で和気藹藹と食する機会も設けられ、普段は味わうことの
ない高級な食材を、作る楽しみとともに食べる楽しみをも合わせ持つ
ひと時を感じさせてくれたことに感謝いたしております。
さらに、この行事は、料理をする上で「五色・五味・五法」の大切さを
はじめ食材への感謝の気持ち、食のマナーなど数々の教えを学ぶことの
できた貴重な時をも与えてくれた意義深いものがあったものと考えています。
校友でもあり、懐石料理教室を主宰されている喜田先生のこうした
微に入り細に入る懇切丁寧な指導により、料理に疎いわたくしにも
何とか完成にこぎつけた喜びを感じさせていただきました。
世界中に猛威を見せているコロナ禍に加え、ご指導いただいてまいり
ました喜田先生のご高齢もあり、今回この催しが終了となることに
一抹の寂しさを感ずるのは参加してこられた校友の皆様も同じかと
思われます。
これまで長きにわたりご指導いただきました喜田先輩に
改めてお礼申し上げます。
結びにあたり、喜田先生をはじめ皆様のさらなる
ご健勝をお祈りいたします。
安田 利啓(昭43卒法)