連日の猛暑にもやや陰りが感じられる九月七日(土)十時より
喜田懐石料理教室にて全国料理学校協会特別師範 喜田芳子先生
ご指導の下、二本の見事な赤松の老木を配した庭園に迎えられ
開催された。
校友である先生のお弟子さん、長谷川支部長、福島幹事、常連
の後期高齢者計十名の集いとなった。
師範直筆のテキスト「手料理を楽しむ集い」に基づき、今回挑戦する
「初秋の日本料理」に関する一時間の講義が行われた。
聴力、視力、理解力に衰えを見せる参加者を前に凛とした先生の声が
教室にこだました。
その間、先生がこの日のために手配された新鮮な食材を届ける八百屋さん、
魚屋さんの姿が玄関に見受けられた。
先生から渡された胡瓜を摩り下ろす者、野菜を切る者、蛸・肉・魚に慎重
かつ乱暴に包丁を入れる者、芋がらを不自由な手で結ぶ者等。
一人一役の作業が先生の魔法で、高級料亭にも引けを取らない
下記品書きの料理完成となった。
一、向 さごし焼霜平造り
二、吸い物 松茸土瓶蒸し
三、焼き物代り 冷やし鉢
四、和え物 たこ、ぶどう、胡瓜、貝割菜、茗荷、三杯酢
五、止め椀 合わせ味噌仕立て、結びずいき、落とし辛子
六、御飯 白飯
七、香物 たくあん 他
八、甘味 黒胡麻水羊羹
先生が近々出版される「食の伝承」のお話を伺いながら自分達が
作ったとは想像もつかぬ高級料理を堪能した。
日本の古からの生活・文化・風物・習慣を背景としたこの「食の伝承」
は現代に生きる我々に何かを問いただす作品となるのではないかと感じた。
喜田先生とお弟子さんに深く感謝申し上げます。
井田 辰司 (昭38卒教育)