部会・同窓会
このサイトでは、大学電気電子工学科同窓会の活動についてお知らせしています。
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https://www.alumni-aoyamagakuin.jp/aguee/
部会・同窓会
このサイトでは、大学電気電子工学科同窓会の活動についてお知らせしています。
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皆様、こんにちは。1991年3月に電気電子工学科博士課程前期課程を修了した21期生の佐俣博章です。旭硝子株式会社での勤務を経て、1994年9月から1999年3月までの4年半、永田勇二郎先生の研究室にて助手として勤務させていただきました。学生時代の5年間を合わせると、世田谷キャンパスには9年半通いました。現在は神戸大学にて教育・研究活動に従事しており、関西在住期間も17年目になりましたが、今でも関西弁はうまく話せません。
この「元気にしています」の企画で原稿依頼を受けた際には、私より先に取り上げていただくべき方々のお顔が頭に浮かび、一旦はお断りしようと考えましたが、厚顔である旨のお叱りを覚悟してこれを書いています。
私が勤務している神戸大学海事科学研究科は、海洋に関する幅広い教育・研究を行っています。日本はよく国土面積の小さな国と言われますが、領海と排他的経済水域の総面積を考慮すると世界屈指の巨大海洋国家です。この広大な海を利用し、国際海上輸送の確保や海洋資源開発、海洋保全などを通じて、人類の繁栄に貢献するのが本研究科のねらいです。ここで私が担当している講義は、電子回路や電気電子材料学、電子物性工学などの電気・電子系科目で、自分の出身学科である電気電子工学科で勉強したことがそのまま全て役に立っています。
研究としては、永田勇二郎先生の研究室に卒研生として配属された際に始めさせていただいた新材料開発を今でも続けており、光の波長を変換する波長変換材料や導電性無機材料などを研究対象としています。ある種の波長変換材料は、物質内部に存在するエネルギー準位を利用して入射光と放出光の光子数を制御することが可能で、この性質を利用して太陽光のスペクトルを変化させることでエネルギーの高効率利用を目指す研究です(アップコンバージョンや量子カッティングと呼ばれる現象です)。
研究科内では広報・社会交流推進委員会の委員長を務めたり、学外ではNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の技術委員を務めたりなど、お陰様で忙しく過ごしています。
1枚目の写真は、今年3月の卒業式の日に私の研究室の卒業生・修了生と一緒に撮影したものです。一般的な私立大学と比べると、国立大学は研究室への配属人数が少ない傾向にあり、私のところに配属される卒研生の人数は毎年3?4名です。後列左側で学位記を持っている3名が今年の修了生で、それぞれ三菱電機、パナソニック、クボタに就職しました。海事科学研究科は、学生の就職がよいことが一つの特徴です。3人のうちの1人は、研究科で優秀論文発表賞を受賞し、その結果卒業式で答辞を読む大役を仰せつかりました。自分の研究室の修了生が神戸大学全体の卒業式で答辞を読むというのは、指導教員にとってとても誇らしいことです。
2枚目の写真は、この原稿を提出する数日前に撮影した筆者です。1994年から1999年頃に学生として電気電子工学科に所属されていた方々の中には、私の顔に見覚えがあると感じてくれる方もいらっしゃるかもしれません。電磁気学演習や学生実験を担当していましたが、当時の私の説明には分かりにくい部分も多かったはずですから、熱心に耳を傾けてくれた(一部の)皆さんには今でも本当に感謝しています。一生懸命さだけが取り柄だったと思いますが…。
皆さんの忍耐強さのおかげで、神戸大学海事科学研究科では、初代のベストティーチャー賞なる名誉な賞をいただきました。この賞は、学生の授業評価アンケートに基づき決定されるもので、他のどんな賞よりも大学教員にとってはうれしいものです。電気電子工学科での講義経験がなければあり得なかったと思っています。
大学院を修了した1年半後には青学時代の同級生と結婚し、その後2人の子供の父親になりました。早いもので長男は大学生になり、一緒にお酒が飲めるようになりました。大学では毎日サッカー漬けのようで、無事に卒業できるのかどうか少し不安になることもありますが、子供が自分の好きなことに打ち込んでいる姿を見るのは親としての最高の喜びです。長女も高校生になり、わがままな父親とうまく折り合いをつけるのに苦労しつつも、いつも私を心から楽しませてくれます。
学生時代に通った厚木と世田谷の2つのキャンパスは、たくさんの楽しい思い出が詰まった本当に大好きな場所でしたが、それらのキャンパスが淵野辺に移転し、世田谷キャンパスが大きなマンションに変わっているのをGoogle mapで初めて見たときには、何とも言えない切ない気持ちになりました。まさか自分が通ったキャンパスが、2つともなくなってしまうとは…。同じ思いの人がたくさんいることと思います。それでも、私が「キャンパス」と聞いて最初に思い浮かべるのは、恩師や妻と出会うという僥倖を得た厚木キャンパスと世田谷キャンパスです。現在は神戸大学の一員ですが、今でも青学関係者の活躍を耳にするたびに心躍り、今年の箱根駅伝の優勝には涙しました。ここまで私の駄文にお付き合いいただいたことに感謝しつつ、最後に青山学院大学理工学部電気電子工学科出身の皆様の今後ますますのご活躍を祈念し筆を置きます。
2015 年8月 猛暑の日、神戸にて
佐俣先生には,2015年度の同窓会報19号に既報の通り,急ぎの依頼にも関わらず執筆を快諾していただきました。本当にありがとうございます。ウェブ担当は学生当時,実験・演習でさんざんご迷惑をおかけした1人なので,佐俣先生の現在の大活躍は本当にうれしいです。これからも,健康に気を付けてますますご活躍ください!